企画展 K1. おすそわけ

どこにでもあるのに、あるとは感じていないもの。そんな存在の日常をスケッチした伊澤加恵の”絵本”『おすそわけ』の刊行を期しての企画展です。またこの絵本は、手で紙を折り、判を押し、糸で綴じて…というなかで生まれます。生まれ続けようとするものの息吹や、時のあわいを感じていただければ。木次のカフェ・オリゼ、松江の古本冬營舎、2会場での開催です。

*会期中カフェ・オリゼは11時〜17時の営業。10日(月)、11日(火)が休日。
同会期中冬營舎は12時すぎ〜19時ぐらい。6日(木)、12日(水)が休日。

■会場,時間,休日

●古本 冬營舎
〒690-0845島根県松江市西茶町90-8
open…12時すぎ〜19時ぐらい
休…5/6木, 5/12水

●カフェ・オリゼ
〒699-1311島根県雲南市木次町里方331-1
open…11時〜17時ぐらい
休…5/10月, 5/11火

■テーマ1. にじのねっこ

少女が橋をわたっています。
足もとしか見えませんが、下をのぞきこもうとしているのか、おぼつかなさにとどまっているのか……、いずれの想像であるにしても、確かさを欠いた印象だけを残す気配があります。
その足もと、橋の下にみえるのはなんでしょう。
虹?

虹が橋の下から、たちあがろうとしている。キラキラと無数の色がそこから生まれようとしてている。いままさに何本かの色の柱をたちあげようとする、絵はその瞬間を描いているようです。虹は雲のような塊につれられてのぼっていくのでしょうか。
いえ、それとも、少女が渡ろうとしている橋こそが、天空にかかった虹なのでしょうか。
とらえようと追いかければ逃げていくその印象は、虹の不思議そのもののようです。

虹は、古代から人々の心に、この世界の「不思議」を目に見えるように表出してくれるものでした。現代の私たちは、虹にひかれながらも、「あれはプリズムの分光と同じで……」などという説明でその不思議の扉をとじてしまいがちです。
けれど、その昔、遠い古代ではなく、もう少し?近い平安時代にまでさかのぼってみればどうでしょう。貴族たちの世界では忘れ去られていましたが、市井の人々は虹がたちあがると、その「ねっこ」に市場をたてなければならない、どうしてもそうしなければならない、という気持ちを抱えていたようです。
どうして? なぜ?
この絵をみていると、そんな不思議へもちかづいていけそうです。

さて、絵本「おすそわけ」の最後の頁におさめられている、この虹と少女の絵。その下には頁をまたがるようにして次のセンテンスが入っています。

虹のぼっておもうのは、虹のねっこは    ということ。

ある言葉が隠れているように見えます。言葉以外のものかもしれませんし、空白なのかもしれない。こたえは貼り止められたテープをはがし、覆いとなっている写真をめくってみればわかることですが、果たしてそうする意味はあるのか……。

……そうしたとらえどころのなさ、それこそが虹の虹らしさなのでしょうか。つかめそうでつかめないもの。でもつかむことを夢みてしまう、願いのようなものも虹にはあります。会場には虹についての書籍もいくつかありますので、それらを読んだり見たり、お話したりしながら考えてみるのも楽しいと思います。

■テーマ2. ちいさなおふねとオカチョウジガイ

オカチョウジガイ(Allopeas kyotoensis)は、「おすそわけ」で、しばしば登場する陸にすむ貝。貝といえば海、鉢底は海底…、自由に想像をめぐらせてみよう。貝のようにのんびりと。

■テーマ3. じめんのした

5/15公開予定

■イベント

5/15 土 カフェ・オリゼにて キノトマのポップアップショップ
パンやオーガニックのドライフルーツ・ナッツのはかり売りなどあります。
→終了しました。ご来場ありがとうございました。