世界の果てへ菌と旅する。 嘉永5年、雪山に死したひとりの茸作を追いかけて(本の話#0023)

◉主 催:カフェ・オリゼ&樟舎
◉日 時:2020年10月23日(金)
◉開 場…18:30〜
◉トーク…19:00〜20:30(20:30〜21:30 食事とカフェの時間。20時半以降の退場はご自由由に)
◉場 所:カフェオリゼ(島根県 雲南市木次町里方331-1)
◉参加費:2,500円(スリランカカリー、ドリンクセット含)
◉定 員:8名
◉申 込:「本とスパイス」参加希望として、お問合せフォームからお名前とご連絡先をお知らせください。返信のメールをもって受付終了とさせていただきます。

◉本の話とカレーの夕べ、その第23回。今回は本ではないけれど、本の表紙と言っていいものをとりあげ、その謎を解く時間をみなさんとともにしたいと思います。副読的に関わる本についてはのちほど。
◉本の表紙あるいはカバー。それは本の顔であり、人の顔と同様、多くを語り、その本と読む人が出会うときをつくるものでもあります。そうした意味で、墓石も本と似た出合があるのではと、そう思うのです。
◉出合は別れを同時に抱えています。地名・地形の名がそうであるように。別れを強調すれば追分で、道がふたつにわかれるところ。東北に多くありますが、中国地方には同じ地を出合と名づけたところが多くあります。そんな出合が残るのが島根県の匹見地方。そこに、不思議な墓がひとつあるのです。
◉「茸作 豊後國市平」「嘉永五子年十一月廿日」「世話人廣見河内村中」
墓石に刻まれた文字はこれだけですが、すべてに謎があります。弔われたのは三平であって、市平ではありません。なぜ? 茸作(なばつくり)とは茸師、シイタケ栽培人ですが、なぜ茸師でなく茸作なのか。三平は、なぜ、ほかのどこでもない匹見にやってきたのか。そこで何をみて、どうしようとしていたのか。雪がひどいから泊まっていけと言われたのにも関わらず、山へ戻っていったその動機は? 嘉永五年、そして十五年前の天保七年申年の飢饉、その百回忌があったのが昭和11年……。さて、つづきは当日の夜に。案内人は「森と畑と牛と」編集人の面代真樹です。

◆主な図書
†. 宮本常一『村里を行く』……古い三国書房の版は、国会図書館デジタル送信で読むことができ、131コマ(254頁)から148コマ(289頁)が今回の話につながります。https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1460014
†. アナ・チン『マツタケ―不確定な時代を生きる術』赤嶺淳訳,2019みすず書房:The Mushroom at the end of the world,on the possibility of Life in capitalist ruins by Anna Lowenhaupt Tsing,2015 Princeton University Press……著者は人類学者で、この本はキノコをめぐる旅の物語。旅は安泰という保証がない生を追いかけながら、多くの出合を生んでいきます。それはどこか三平の生と重なるように思えます。