物語ごろし、神ごろし、を、たずねて〜神話論理と詩と医学、あるいは宮沢賢治と神谷美恵子をつなぐ道

寺子屋あわい堂2024  巻の3

◉主 催:あわい堂&樟舎
◉日 時:2024年5月17日(金)
◉開 場…18:30〜
◉トーク…19:00〜21:30頃(21時以降はカフェタイムに入りつつ、質疑を受けたトークは続きます。21時以降の退場はご自由に)、22時クローズ。
◉場 所:あわい堂(島根県出雲市大津町1226-1)
◉参加費:2,300円(軽食、1ドリンクセット含)。
◉定 員:14名
◉申 込:
お問い合わせも含め、下のフォームからお名前とご連絡先をお知らせください。※のついた欄は必須です。返信のメールをもって受付とさせていただきます。
また、お車でお越しの方が大半かと思いますが、その旨ボックスにチェックをお願いします。駐車位置と場所について、事前に調整相談させていただきます。
◉その他:録画を利用した、あるいは別立ての配信を計画中です。視聴を希望される方へはメールにてご案内しますので、フォームよりその旨ご希望をお教えください。

    内容紹介

    ◉いつ、どこでだったのかは覚えていない。それが誰だったのも曖昧だ。ただ、こう聞かれたのだ。
    「サンタクロースってほんとうにいるのかな」
    どう答えるかはともかく、決まってるじゃないか、そんなこと。

    ◉すなわち、Yes(相手に対して)、そしてNo(自分に対して)。サンタクロースは対立矛盾する2項を見事に、実に巧妙に操ってくれる。あなたは演じればいいだけだ。あたかもそれが実在しているかのように。あなただけではない、いまや世界中で数億という単位の個体が、時を同じくして演じているではないか。史上最も名高い神ごろし、十字架上で磔殺されることになる、イエス・キリスト誕生の祝福にあわせて。

    ◉サンタクロースの最大の機能、他の神々と明らかに袂をわかつ特徴がふたつある。
    一. 「大人がその実在を信じていない神」
    一. 「オリジナル(起源)の不在」
    このふたつの原理がただならぬ世界を創出するのだ。

    ◉誰もが容易に扮することができる神。儀礼はもとよりなく作法を間違えることもない。大人はサンタクロースを装うことで子供たちを騙し(夢を与え)続ける。年に一度の限られた時間、演じられる劇とプレゼントの交換。その規模と効果においてどんな祝祭も演劇も遠く及ばない。騙す大人たちも、騙される子供たちも、見守るお年寄りも、富めるものも貧しきものも、みなに訪れる幸福なひととき。

    ◉この幸福劇の裏舞台から神ごろしの現場に誘おうというのが今回のお話。それは物語ごろしと一平面の表と裏のように接している。かたりの始原、言葉の生きた証が残る殺しの現場でもある。言葉が、神が、ロゴスが、物語が生まれる場。その局面において、真偽の論理が無効となり、神話の論理が発動する場。真実と虚構、科学と文学に分裂したかたりを始原の姿にかえすことはできるのか。

    ◉宮沢賢治、神谷美恵子をヤマアテとしながら、スフィンクスの謎かけ、底しれぬ贋の出雲の詐術をくぐり抜けた地平へ、ご案内しようと思う。乞うご期待。

    ◉主要参考文献・資料等
    〜寺子屋あわい堂2024前期「言葉と神」巻の3を中心に1,2を含む・2024/04/30時点

    †. 入沢康夫『死者たちの群がる風景』(昭和58,河出書房新社)
    †. 入沢康夫『わが出雲・わが鎮魂』(1968,思潮社;2004復刻新版)
    †. 入沢康夫『宮沢賢治―プリオシン海岸からの報告』(1991,筑摩書房)
    †. 安藤礼二「死者たちの群がる風景―ラフカディオ・ハーンと折口信夫」(『現代思想2013.12増刊号・総特集出雲』青土社所収)
    †. 須賀真以子「読むことの始源に向かって―入沢康夫『わが出雲・わが鎮魂』における「わが鎮魂」の役割」(人文科学研究 第一二巻;p27―38,2016年3月:お茶の水女子大学教育研究成果コレクションTea Pot
    †. 松原正義「現代詩を教室で読めるか―入沢康夫『わが出雲』の授業」(「日本文学」36巻,1987年3号;シンポジウム・文学教育における虚構とは何か,日本文学協会第41回大会報告, J-stage
    †. 宮沢賢治『注文の多い料理店』(宮沢賢治全集8・1986,ちくま文庫/青空文庫版・序,同・注文の多い料理店
    †. 宮沢賢治『春と修羅』(宮沢賢治全集1・1986,ちくま文庫)
    †. 神谷美恵子『ケアへのまなざし』(2013,みすず書房)
    †. 神谷美恵子『旅の手帖より』(神谷美恵子著作集5・エッセイ集1,1981,みすず書房)
    †. 神谷美恵子『存在の重み』(神谷美恵子著作集6・エッセイ集2,1981,みすず書房)
    †. 神谷美恵子『神谷美恵子日記』(2002,角川文庫, 『神谷美恵子著作集10 日記・書簡集』1982, みすず書房)
    †. 神谷美恵子「三谷先生との出あい」(《南原繁, 高木八尺, 鈴木俊郎 編『三谷隆正―人・思想・信仰』1966,岩波書店》所収;国立国会図書館デジタルコレクション蔵
    †. 田中真美「神谷美恵子の実践の研究―1960 年代の長島愛生園を中心にして」2016:core(open access research papers)
    †. 中井久夫『働く患者』(中井久夫集1・みすず書房
    †. 中井久夫『世界における索引と徴候』(中井久夫集3・みすず書房
    †. C.レヴィ=ストロース『構造人類学』(田島節夫ほか訳・みすず書房)
    †. C.レヴィ=ストロース『サンタクロースの秘密』(中沢新一訳・みすず書房)
    †. 折口信夫「身毒丸」(『折口信夫全集第十七巻』中公文庫所収),「身毒丸」(青空文庫)
    †. 坂部恵『かたり―物語の文法』(ちくま学芸文庫)
    †. 小泉八雲「日本海に沿うて」(平井呈一訳『日本瞥見記・下』恒文社所収・全訳小泉八雲作品集 第6巻』1964)
    †. 柳田国男「赤子塚の話」(『定本柳田國男集 第12巻』筑摩書房所収)
    †. 夏目漱石『夢十夜・文鳥』(新潮文庫)
    †. 森鴎外『山椒大夫・高瀬舟』(新潮文庫), 同(青空文庫)
    †. 大塚英志『「捨て子」たちの民俗学―小泉八雲と柳田國男』(2006 ,角川選書)
    †. 坂部恵『ペルソナの詩学―かたり ふるまい こころ』(岩波書店)
    †. 大室幹雄『ふくろうと蝸牛―柳田国男の響きあう風景』(筑摩書房)
    †. 斎藤英喜『戦死者の記憶・靖国・折口信夫―神話解釈史の視点から』(『日本文学』64巻5号2015年5月所収)
    †. 野崎守英『宣長と小林秀雄』(名著刊行会)
    †. 小林秀雄『本居宣長』(上下巻・新潮文庫)
    †. 西郷信綱『古事記注釈・巻1,巻3』(ちくま学芸文庫)
    †. 本居宣長『古事記伝』(一,二,三,四・岩波文庫)
    †. 本居宣長『古事記傅・13』(NDL)
    †. カルロ・ギンズブルグ『神話・寓意・徴候』(竹山博英訳・せりか書房)
    †. ディビッド・エイブラハム『感応の呪文』(結城正美訳・水声社)
    †. G.ベイトソン『精神と自然―生きた世界の認識論』(佐藤良明訳・岩波書店)
    †. 有馬道子『記号の呪縛―テクストの解釈と分裂病』(勁草書房)
    †. T.A.シービオク『自然と文化の記号論』(池上嘉彦編訳・勁草書房)
    †. ソポクレス『オイディプス王』(河合祥一郎訳・光文社文庫)
    †. ソポクレス『オイディプス王』(藤沢令夫訳・岩波文庫)
    †. アポロドーロス『ギリシア神話』(高津春繁訳・岩波文庫)
    †. プラトン『パイドロス』(藤沢令夫訳・岩波文庫)
    †. ニーチェ『善悪の彼岸・道徳の系譜』(ニーチェ全集11・信太正三訳・ちくま学芸文庫)
    †. テッド・チャン『あなたの人生の物語』(浅倉久志ほか訳・ハヤカワ文庫)
    †. 西村国次郎「島根縣庁焼打事件懺悔覚書」(1952年・島根県立図書館所蔵)
    †. 猪瀬直樹『天皇の影法師』(新潮文庫)
    †. 安丸良夫『神々の明治維新―神仏分離と廃仏毀釈』(岩波新書)
    †. 速水保孝『出雲の迷信』(学生社)
    †. 『民衆史の遺産第10巻 憑きもの』(谷川健一・大和岩雄編・大和書房)
    †.  堀一郎『民間信仰の形態と機能』(堀一郎著作集 7 ・未来社)
    †. 井筒俊彦『言語と呪術』(井筒俊彦英文著作翻訳コレクション・安藤礼二,小野 純一訳・慶應大学出版会)


     

    余談としてのIntroduction

    coming soon.