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やまたのをろちはワインを飲んだのか〜マイケル・ポーラン『人間は料理をする・下』etc.(本の話#0016)


◉主 催:カフェ・オリゼ&樟舎
◉日 時:2019年1月25日(金)
開 場…18:30〜
トーク…19:00〜20:30
(20:30〜22:00 食事とカフェの時間。21時以降の退場はご自由に)
◉場 所:カフェオリゼ(島根県 雲南市木次町里方331-1)
◉参加費:2,500円(スリランカカリー、ドリンクセット含)
◉定 員:12名
◉申 込:「本とスパイス」参加希望として、下記のメールアドレスまでお名前とご連絡先をお知らせください。返信のメールをもって受付終了とさせていただきます。
honto@ksnoki.org
◉内容
本の話とカレーのゆうべ、その第16回。案内は「森と畑と牛と」 編集人の面代真樹です。
高天原から追放されたスサノオノミコトが、ヤマタノオロチに酒をのませ、酔いつぶれたところを斬りつけるシーンは神楽でもおなじみですね。さて、このお酒、筋からいえば米からつくられた酒ではありません。稲が地上にもたらされるのはオオクニヌシノミコトが国譲りをした後ですから。では、オロチが飲まされたのは? 日本書紀の一書には「木の実からつくった酒」とあります。つまり葡萄酒あるいはなんらかの果実酒ではなかったか。今回はここから、料理と神話と発酵の始原へと遡行する物語を始めようと思います。古今東西を問わず酒は神事と深く関わり、酒造は発酵の力をヒトが手中にすることで可能となりました。というより、ヒトが森を開き農耕を始めたのは酒を創るためであったという説すらあるのです。
発酵を起こす微生物は土の中こそが故郷であり、その目的はすべての生命を源たる土へ帰すこと。熟した果実の上にいる酵母菌、キャベツの葉の上で待機している乳酸菌、そして私たちの皮膚や腸の中にも……。しかし発酵は死よりも生の力をもたらしてくれるように思えます。人にとって、食物の長期保存を可能にし、栄養価を高め、美味の歓びをもたらすもの。ともあれ、土とは何か。発酵と腐敗の違い。生と死、神話と科学が、激しく交錯するラビリンス世界の夜、となるよう精一杯の探求を続けます。お楽しみに。

◉主な図書
◆マイケル・ポーラン『人間は料理をする・下』(NTT出版)
人間が人間であることの証、それは料理をする動物であること。
ジャーナリストとして、大学教授として、そして料理研究家?として、マイケル・ポーランはこの定義から探求をはじめます。その問は「料理の本質とは何か」。火・水・空気・土、物質を変容させる4つの要素を軸に問は深められていくという仕掛けです。化学変化から進化論、食文化史と文学・歴史、取材対象者の語り、さまざまなレベルが交錯するさまはいささか大仰な表現に彩られているものの、問の核心をつく鋭さは修辞のための修辞ではないことを証しているでしょう。
◆西郷信綱『古事記注釈 第二巻』(ちくま学芸文庫)
◆現代思想2016年6月臨時増刊号「総特集 微生物の世界」(青土社)

★ほか、小泉武夫『発酵―ミクロの巨人たちの神秘』(中公新書)、同じく小泉の『食と日本人の知恵』(岩波文庫)、D.モントゴメリー,A.ビクレー『土と内臓』(築地書館)、金子信博『土壌生態学入門』(東海大学出版局)など。